こいのぼり歌詞の疑問!「いらか」とは?「お母さん」がなぜいない?

5月を前に青空の中、あちらこちらで見かけるのは「こいのぼり」。

空を悠々と泳ぐ姿はとても気持ちいいですよね。

家によって、鯉のぼりの上げる本数(匹数?)が違ったりします。

たぶん、それは子供の数と関係があったりするんですよね。

そして、こいのぼりの歌を思わず口ずさんで見ると…

「いらか~のなみと くもぉのなみ~♪」

なんて歌っていると、アレ?

「いらか」って何?って思ったことありませんか?

実際、歌詞を一つ一つ読んでいくと難しい言葉が使われているので、意味が分からないところもあります。

「いらかの波と雲の波」の歌は、「屋根より高い」こいのぼりより、歌詞も曲も難しいです。

また、「屋根より高い」のこいのぼりの歌は歌詞にお母さんが出てきません。

それに2番と3番には隠された秘密がありました。

今回はそんな2曲の「こいのぼり」を紐解いてみたはなしです。

ついでに、楽譜と歌詞カードも付けましたのでよろしければお使いください。

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目次

こいのぼりの歌詞にある「いらか」の意味は?

この曲の歌詞の内容を要約すると、男が雄大に竜のように立身出生するように願われた歌詞です。

中国の伝説で鯉が滝を上って龍になるという伝説「登龍門」を元にして書かれた歌詞だと言われています。

鯉を龍に重ね合わせ、「その雄大な姿のように大きく成長して欲しい」という願いが込められています。

もう、100年以上も前の曲なので歌詞が今では使われない文語体だったので、歌詞の下に現代口語体で意味が分かるように書き加えました。

「いらか」だけでなく、他にも分かりづらい表現が多いのでオリジナルの歌詞と合わせて読んでくでください。

こいのぼり
作曲/弘田龍太郎 作詞/作者不詳

1番
甍(いらか)の波と 雲の波
(訳)屋根の瓦(かわら)の波と空の雲の波

重なる波の 中空(なかぞら)を
(訳)まるで波が重なり合うあいだの空に

橘(たちばな)かおる 朝風に
(訳)橘の花(※)のいい香りが朝風に吹かれている

高く泳ぐや 鯉のぼり
(訳)高く泳ぐのは鯉のぼり

2番
開ける広き 其の口に
(訳)大きく開いたその口は

舟をも呑(の)まん 様(さま)見えて
(訳)船も飲み込んでしまいそうだ

ゆたかに振(ふる)う 尾鰭(おひれ)には
(訳)大きく振れるシッポには

物に動ぜぬ姿あり
(訳)物事に動じない雄大さがある

3番
百瀬(ももせ)の滝を 登りなば
(訳)鯉(男子)が多くの滝をのぼったら

忽(たちま)ち竜に なりぬべき
(訳)それはすぐにでも龍になり

わが身に似よや 男子(おのこご)と
(訳)私に似て立派になれよ男の子

空に躍るや 鯉のぼり
(訳)空で踊るのは鯉のぼり

(※)橘の花…日本では固有のカンキツ類で、実より花や常緑の葉が「永遠」を喩えるということで喜ばれていた。それは5月に白く放射状に開く花をつける。

(出典:Wikipedia)

この歌は、大正2年から小学校の教科書に掲載された歌です。

肝心な作詞者が不明です。

作曲者はこの当時、有名だった広田竜太郎氏 こいのぼりの他にも、代表作が「春よこい」など今も歌い継がれている曲など、たくさんあります。

 

 

楽譜・歌詞はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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鯉のぼりの 歌詞に「お母さん」がいないのは何故?

「屋根より高い」のこいのぼりの歌も数奇な運命をたどる曲でした。

こいのぼり
作詞/近藤宮子 作曲/作者不詳

1番
やねより たかい こいのぼり
おおきい まごい(※)は おとうさん
ちいさい ひごひ(※)は こどもたち
おもしろそうに およいでる

2番
みどりのかぜに さそわれて
ひらひらはためく ふきながし
くるくるまわる かざぐるま
おもしろそうに およいでる

(新)2番
やねより たかい こいのぼり
おおきい ひごいは おかあさん
ちいさい まごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

3番
5がつのかぜに こいのぼり
めだまをピカピカ ひからせて
おびれを くるくるおどらせて
あかるいそらを およいでる

※真鯉 (まごい)― 体色が黒い鯉
 緋鯉(ひごい) ― 体色が紅色の鯉

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「お母さん」がいない理由

歌詞を見たただいてもらっても分かるように、お父さんと子どもだけで「お母さん」存在がありません。

じつはこの作詞された時代は1931年(昭和6年)でまだ、世の風潮が家長制度が根強かった時代に作られたからと推測されます。

また、一部では男尊女卑のせいだ言われているようです。

しかし別の理由として5月5日はお母さんが体を休める日だして、家事などをお休みしてもらっていた、という理由もあるようです。

歌詞2番・3番は存在しなかった

さらに、作詞者の近藤宮子さんの歌詞は1番だけです。

2番以降の歌詞は作者不明でいつ作られたのか、はっきりしていません。

それが徐々に時代が変わり、東京オリンピック開催の1964年(昭和39年)頃より男女平等が言われるようになり2番の歌詞だけが書き換えられました。

この頃から、徐々に鯉のぼりも父と男の子という形態から、ファミリー型に変化してきました。

先の歌詞(新)2番を参照にしてください。

歌詞では 1番のひごい→父 2番のひごい→母 1、2番のまごい→子どもたち になっています。

実際、現在の飾りでは 真鯉→父(黒)、緋鯉→母(紅色)、子鯉(青や緑など)→子どもたち となっています。

歌詞と現在の飾りが違っている理由については、いまの新しい家族の形とまだその当時の(新)2番の歌詞がまだ、付いてきていようでしたね。

 

楽譜・歌詞はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

2つの「こいのぼり」の歌詞の意味は。

昔から何気なく歌ってきた歌詞も理解することで、子供の日の意味が今までと違って見えてきました。

弘田龍太郎作の「鯉のぼり」は歌詞とメロディーから勇ましさを感じます。

それこそ、「男が雄大に鯉から龍のように出世する願い」が込められているのがわかりました。

近藤宮子さん作の「こいのぼり」は、「初夏の風にのって、家族でたのしく過ごしている」という親しみやすい雰囲気がしっかりと伝わります。

どちらも男子は立派な大人になること願っていることが、よく伝わる内容でした。

大正、昭和初期の時代の息吹がそこに込められていることが感じられました。

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