久しぶりに銅鍋を使おうと思って出して来たら、なんと!鍋に緑色のサビが着いていた。
これって緑青といって、人体に中毒性があって危険だって以前、聞いたことがあるんだけど、本当のところはどうなの?
このままじゃ、緑青が気になって銅鍋が使えなくなので、サビを落とさなくてはいけないの?
と言うのは昔のはなしで、緑青は体に危険だと言う情報は、実のところ間違いで何も問題は無いのが今の常識です。
でも、サビた銅鍋をそのまま使うのも、ちょっと気持ちいいものじゃないですよね。
なので、今回のはなしは緑青の特徴についてと合わせ、銅鍋のお手入れ方法とサビの落とし方をご紹介させてもらいます。
目次
久しぶりに使った銅鍋に緑青が出てしまった!そのサビは危険でないの?
誤解されていた緑青
調理用に使う銅製品は、戦前から一般的に広く使われていました。
特に銅鍋は「あかなべ」と言われ、熱伝導率、熱効率、熱保有量ともに優れています。
その特徴から、ステンレス鍋より熱がまんべんなく行き渡るので、煮込みものや玉子焼きなどを作るのに料理人から愛され続けています。
また、耐久性にも優れて常に手入れをすることにより、美しい光沢を醸し出します。
しかしながら、残念ながら銅に対する認識が正確に伝わっていなく、間違った認識が蔓延っているのも事実です。
その一つが緑青のことです。
緑青とは、銅の腐食により出来る錆で、科学的には塩基性炭酸銅と言われる化合物です。
昔からこの緑青は、その緑色も不快に見えることから、猛毒であると誤解されていました。
実際、緑青は20年ほど前までの教科書や辞書には有毒や有害と記入されていました。
残念ながら、今でも危険に思っている人が多いようです。
実はこれが誤りで、根拠のないものだったのです。
金属清廉技術が未発達な時代に、銅の中にヒ素が混入し、ヒ素中毒を起こしていたのではないかという事例から、有害だと思われていたようです。
国立衛生試験所が昭和55年から3年間を費やして実験を行い、その結果を受けて、昭和59年8月に厚生省は無害であることを認めました。
しかし、1984年8月に厚生省の見解として有害ではないと発表され、緑青は水に溶けず、体内に蓄積しないことが立証されました。
なので仮に緑青の発生した銅製品を洗浄してから再度使用したとしても、衛生的には全く問題有りません。
銅中毒について
誤解を解いたところで、ひとつ大切なことをハッキリさせなくてはいけません。
銅製品について、まれに吐き気、嘔吐、下痢等の食中毒が報告されています。
その事例として、内面の損傷等がある銅製器具を用いて、スープストック、焼きそば等の食品を長時間保存していた。
または、洗浄後の水切りが不十分で水が溜まっていたものをそのまま使用する。
それらの事が原因で、大量の銅イオンが食品へ移行し中毒症が発症したものと報告があります。
銅鍋のサビは取ることはできるの?長く使うためのお手入れ方法
銅鍋類の使用方法
普段のお手入れは、中性洗剤をスポンジにつけて洗い、水気を拭きとってください。
お手入れが不十分だと白い粉状のものが付着してきますが、水道中の微量成分(カルキ)が固まったもので、衛生的には無害で問題ありません。
焦げつきなどを落とす場合はナイフ等を使用しないでください。
熱湯に浸して焦げつきを柔らかくしてから取り除いてください。
調理後は内容物を保存しないでください。
銅イオンの発生原因となります。
遅くとも食事後には別の容器に移してください。
外面が変色した場合はナイロンタワシで変色層が落ちるまで磨いてください。
塩分や酸等を含んだ汚れを付着したまま放置したり、湿気の多い場所での保管は緑青発生の原因になります。
緑青が発生した場合は、酢と同量の塩を混ぜた溶液を布につけてこすり落としてください。
その後は中性洗剤で洗い、すすいで水気を拭き取ってください。
内面は、スチールタワシやみがき粉を使用しないでください。
銅鍋のお手入れ方法
銅鍋は酸や塩素に弱いため、長時間料理を入れておくと味や色が変化する事があります。調理後は早めに別容器に移して下さい。
- 台所用中性洗剤とスポンジで汚れを落とします。
- お湯で仕上げ洗いし、水気を良く拭き取ります。
- 金属たわしや粒子の荒いクレンザーは、キズをつけ緑青の原因になるのでさけて下さい。
- 外側は、ときどき専用クリーナーか粒子の細かいクリームクレンザーで一定方向に磨きます。
- 湿気の少ない所に保管します。長時間使用しない場合は、新聞紙にくるみビニール袋に入れ保管して下さい。
緑青がでてしまった場合
やわらかいスポンジにクリームクレンザーをつけて、強めにこすれば落とせます。
銅製品が変色した場合は柔らかい布に銅の研磨剤を付け取り除いて下さい。
手入れをすればするほど落ちついた美しい色調になってきます。
しかしスズメッキの場合はフッ素樹脂加工の製品と同じく、表面を傷つける金属性の器具は使用しないで下さい。
もちろん熱にも弱いので、空炊きは絶対に禁止です。
万一メッキが剥がれてきても、人体に無害な事はもちろん、使用上まったく問題はありません。
まとめ
いかがでしたか、今回は銅鍋の緑青のはなし。
銅鍋は非常に優れた調理道具です。
正直、大量生産ができない、どちらかと言うと高級品なのでお値段は高いです。
以前、どこかで職人さんが銅製の卵焼き器で出汁巻き卵を作っていたのですが、本当に美味しそうでした。
それの銅鍋は使い込むほど味が出て、なんとも良い色になるのも魅力です。
どうですか、銅鍋をひとつぐらいお手元に置いてみては。