知ってましたか?一人用のお鍋料理の器が紙でできている「紙鍋」って言うのを。
以前の話なんですが、わたしの泊まった旅館でその料理が出てきました。
鍋の下では固形燃料が燃えているのに、その紙で出来た鍋は燃えることなく、中の食材はしっかりと煮ることが出来ていました。
不思議ですよね?
わたしがひたすら感動をしていると、女中さんが「昔からある方法で、その仕組みは紙が燃えるまえに、中のお湯が紙を冷ますから燃えないのですよ。」と教えられました。
なるほど、と私も感心しながらもう少し知りたくなり、紙鍋について調べてみました。
紙鍋は紙が燃えないのに、なぜ中の食材を調理ができるのか?
燃えない紙は特別な素材なのか?
そんな紙鍋の疑問を調べてみたはなしです。
目次
紙鍋の紙はなぜ燃えないの?紙は特別な素材なの?
紙が燃えない理由は?
直接火にかけても燃えないのは、水の沸点が100℃を超えることはない一方で、紙の引火点が300℃以上と高いからです。
つまり中に水分がある限り紙の鍋は燃える事が無く、ずっと火をあて続けても大丈夫だという事です。
そういえば、これも前にテレビで見かけた話で、科学者のでんじろうさんだったかな?
たしか、水を入れて膨らませた風船にロウソクの火を当てても割れませんでした。
これも同じような理屈だったはずです。
紙は特別な素材なの?
それでは、紙もただの紙だとふやけてしまい、そのまま鍋の火をかけ続けていると破れてしまうのじゃないかと心配になりませんか?
現在、料亭とかに出される紙鍋は防水加工を施した洋紙製がほとんどです。
中には昔ながらの和紙を使った紙鍋を出す専門店も少なからずあようですが、ほとんど見かけなくなりました。
和紙についてもう少し言及すると、まだ洋紙が日本に入ってくる前の紙鍋は和紙が使われてきましたが。
紙鍋の歴史は古く、享保17年(西暦1732)の300年近く前にさかのぼり、三宅也来著『万金産業袋』の「こん にゃくの条」となる文献にも記されていました。
その内容を要約すると、紙鍋用の和紙の製法は国栖(くず)紙や美濃(みの)紙を使いました。
和紙の両面にコンニャク玉の糊を塗り付け、天日で乾燥させたのち箱型の鍋に仕上げました。
もとは和紙の特徴として繊維が長く強度のあることで、日本では紙で鍋をつくるという面白い発想が生まれたのでしょう。
いづれにせよ、一般家庭では使用されず、非常に特殊なものでもありました。
今でも使われる紙鍋のメリット
なぜ、紙鍋の紙が燃えないかは理解できましたよね。
今では紙鍋も高級な料亭や旅館のイメージが定着してきましたが、なぜ未だに紙鍋が使われ続けるのでしょう。
その例をあげてみると
- 薄い紙鍋なら熱が均一に回り、具材が煮えるのが早い。
- 紙が食材から出るアクを取る効果がある。
- 紙は使い捨てなので、洗う必要が無く衛生的だ。
- 紙を交換するだけなので、コストがかからない。
- 見た目の演出が印象に残る。
と言ったところでしょうか。
やはり、最後の「見た目の演出が印象に残る。」が一番のメリットではないでしょうか。
旅先の旅館でこんな料理をだされたら、思い出に残りますよね。
まとめ
今回の紙鍋のはなしはいかがでしたでしょうか?
固形燃料をセットした自分専用の紙鍋の中で、次第に食べ頃になっていく海や山の幸をたっぷり味わうことで、思い出深いものになりますよね。
ある人がこんなこと言ってました。
「自然に触れることに安らぎと癒やしを感じる日本人は、土や木、紙などの自然素材を大事にしていろんな場面で活用してき ましたが、料理も例外じゃない。紙鍋は、そんな志向から生まれてきたのではないでしょうか」
確かに食材だけでな<、器からも自然を感じようとする感性が生んだユ二ークな発明、それが紙鍋なんですよね。