浴衣と打ち水。
夕涼みの中、玄関と庭先に水をまき、涼しくするための日本古来からの風習って、なんか良いですね。
打ち水が生活の中に浸透したのは江戸時代の頃と言われています。
もともとは訪問客が来る前に、玄関先で打ち水をする風習がありました。
それは、場を清めてお客様を迎えるという意味合いがあったようです。
それに、打ち水が行われた後の風景は、見た目にも清涼感がありますよね。
これもそれも昔の習慣で、今でも打ち水をしている人は、ほとんどいないかと私は思っていました。
それが近年エコの観点から、冷房に頼らずに温度を下げる方法として「打ち水大作戦」という運動が全国で展開されるようです。
なにかとても興味深い話ですよね。
ぜひ今年は、一緒に打ち水でもしてみたいですね。
しかし、打ち水をする時間帯や場所などを間違えると逆効果になってしまう、ことがあるって知ってましたか?
折角、打ち水をしても涼しくならなかったり、逆に蒸し暑くなってしまっては意味がありません。
という事で今回はそんな、打ち水で涼しくなる方法や打ち水の原理また、どのような効果があるのか、についてのはなしです。
目次
打ち水に何を準備すればいいのか
まずは基本から、打ち水はただ水を撒くだけとは思わないでくださいね。
と、お硬いこといいますが、打ち水はエコと言うの大義名分があります。
なので、撒く水は水道水を使用せずに、風呂やシャワーの残り湯、エアコンの室外機から出た水、溜めた雨水、台所のすすぎの残り水などの2次利用水を使用しましょう。
打ち水に必要な量の目安は、だいたい1㎡当たり約1ℓです。
1回で撒くより、何回かに分けて撒いた方がより効果的です。
昔は、ひしゃくで撒くという日常の風景でしたが、べつにひしゃくがなくても手でバシャバシャと撒いてもOKですよ。
また、ジョウロやペットボトルで水を撒いてもいいかもしれません。
便利グッズでペットボトルのキャップ部分を交換して、ジョウロにするグッズもありましたね。
あと、大切なのは熱射病を防ぐために、できれば帽子を着用しましょう。
打ち水の効果がある おすすめの時間帯
さぁ、準備ができましたら打ち水をする時間をきにしなくていけません。
打ち水は行う時間帯によって、得られる効果が変わります。
効果的な時間は早朝か夕方です。
細かく時間帯でいうと、早朝は5時~7時頃の日が昇って気温が上がってくるまでの間。
夕方は、6時~7時頃の日が沈んで暗くなる前がベストですね。
そうやって考えてみると、打ち水におすすめの時間帯である朝と夕方は、植物の水やり時間とほぼ同じですよね。
それに、植物には周囲の気温を下げる蒸散作用や、保水性を高くして気温が上がりにくくする作用があります。
となれば、暑さ対策として植物を育て、水やりのタイミングで一緒に打ち水をしてはいかがでしょうか。
でも、いまの話し朝夕と言いましたが、実際に最も気温が上がるのは昼間ですよね。
太陽が照りつけ熱くなった真昼の日向のコンクリートやアスファルトには水を撒きたくなるのはやまやまですが、昼間の打ち水は逆効果になってしまいます。
一時は涼しく感じても、発生した水蒸気でその場の湿度を上げてしまうことで不快に感じることがあります。
炎天下のもとで水を撒くのもキツイですよね。
でも、どうしても昼間に打ち水をして気温を下げたいのであれば、日陰を狙って撒くのが効果的です。
そのことについては次に続けます。
打ち水するのに効果的な場所は?
ここでは打ち水の最適な場所のはなしです。
打ち水の効果を高めるためには、日陰に水を撒きましょう。
それは朝夕も同じことが言えます。
打ち水は水が蒸発するときに熱を奪う気化熱を利用したものですが、真夏の日向は暑すぎてすぐに蒸発してしまい、十分な効果が得られません。
日陰に水を撒いておくことで、ゆっくりと蒸発する効果と、日向との温度差によりそよ風を起こす効果があります。
また、花壇や植樹に撒くことも効果があります。
植物が吸い上げた水分を徐々に発散させることと、葉の下の日陰部分を冷やすことで、打ち水の効果を高めてくれます。
その他、日よけに使用しているすだれや日陰になる壁面などを湿らすのも良いですね。
では、マンションで日陰が無い場合はどうしましょう。
よく耳にする、都会の暑さのもとになる、ヒートアイランド現象。
この原因の1つは、道路のアスファルトや建物のコンクリートの中に熱がたまり、気温が下がりにくくなることです。
そこで打ち水は、ヒートアイランド現象対策としても有効です。
その多くのマンションのベランダも、表面がコンクリートなどで作られており、熱がたまりやすいです。
特にマンションの場合は風を通しても、ベランダの熱気が入ってきて、室内温度を上げてしまいます。
それに、大きな窓のあるベランダやバルコニーからは、やはり熱気が入って来やすいですよね。
そこで、ベランダに打ち水をすることにより、室内の気温も下げることが可能です。
ここでは同じく、打ち水は基本的に日陰に撒いてください。
しかし、ベランダに日陰がない場合は、すのこやすだれ、グリーンカーテンなどにより、日陰を作ってから打ち水をすることをおすすめします。
また、ベランダにエアコンの室外機がある場合は、室外機への打ち水も効果的です。
室外機の熱交換機を冷やすことにより冷房の運転効率が高まり、冷房運転の消費電力を減らすことができます。
繰り返しますが、日中の熱を蓄えたコンクリート部分は、夕方の打ち水で温度を下げておけば、日没後はそれ以上温度は上がりません。
寝苦しい夜を少しでも快適に過ごすには、ベランダやバルコニーへの打ち水も取り入れてみてください。
打ち水で涼しくなる原理
では、なぜ打ち水で涼しくなるのでしょう?
先程から、打ち水の撒き方や撒き場所で簡単に説明をしてきましたが、もう少し分かりやすく説明しますね。
1.地表面温度低下、放射の減少
水が散布された表面は温度の低い水が覆い、水が蒸発することによって道路やアスファルト面の温度が下がります。
地面が濡れている場所では、水分が地面から、たえず熱を奪って蒸発しようとするので、濡れている場所の方が、そうでない場所より涼しいということになります。
保水性の高い土や芝生が、コンクリートやアスファルトよりも涼しいのはこのような理由からです。
条件によっては地表面温度が10℃以上下がる場合もあります。
また、道路やアスファルトの湿った表面は黒くなるので、日射の反射率も低下し、地表面からの太陽の照り返しや地表面からの赤外放射は減少します。
2.気温の低下
地表面の温度が低下すると、気温も低下します。
しかし、実際は地表面の温度の低下ほど、気温の低下は大きくなく、せいぜい1℃程度です。
それに、小さな気圧の変化が発生し、打ち水を行っていない場所から風が吹き、温度の高い空気が運ばれてます。
そのため実際の温度低下幅は気化熱などから推測される値を下回ることもあります。
気温の低下は僅かですが、地表面の温度が大きく低下し、太陽の照り返しや地表面からの赤外放射の減少の影響が大きいので、体感的には涼しく感じられます。
3.湿度増加、風
打ち水は蒸発を伴うので、湿度は必然的に増加します。
水が蒸発する際、打ち水をした場所の気圧が上がり、空気の密度が大きくなります。
そして周囲との気圧の圧力差が生じるため、空気が流れることで風が生まれ、打ち水の後にはそよ風を感じる場合もあります。
まとめ
いかかでしたか?
今回は日本の伝統でもある『打ち水』についてはなしてきましたが、夏の暑さ対策としてぜひ取り入れてみませんか?
夏の節電対策、暑さ対策に打ち水は有効です。
特に最近では夏が来るたびに「最高気温を更新!」とか「熱中症」に関するニュースをよく耳にします。
それだけ日本の夏も暑くなって来ているんですよね。
打ち水の際は、できるだけ水道水ではなく二次使用の水を使用しましょう。
打ち水を通して水の使い方を考えることは、地球環境について考えることにもつながります。
環境にやさしく手軽にできる『打ち水』で暑い夏を乗り切りましょう!