勤め人として、大手企業名ならともかく中小企業勤めだと、なかなか有給って取りにくいですよね。
その理由は、みなさんが少ない人員で頑張って会社を支えているからだなんですよね。
みんなが頑張ってるから、わたしも頑張らなければ!って思い、有給を使うことにちょっぴり罪悪感を感じたりして。
その有給ですけど、2019年4月より「働き方改革法案」の成立により、労働基準法が改正されました。
年10日以上有給休暇の権利がある従業員について、最低でも5日以上は有給休暇を現実に与えることが義務付けらる、という新ルールです。
それが、まだ有給休暇の消化日数が5日未満の従業員に対しては、企業側が有給休暇の日を指定して有給休暇を取得させる必要があります。
企業はその義務を果たさず、対象となる従業員に有給休暇の指定をしなかった場合は、30万円以下の罰金が課されます。
こちら従業員側としては、これでだれに気兼ねなく堂々と休めるので、嬉しいことですよね。
しかし、有給を取ると給料が変動する、なんて噂があることをしってましたか?
それも、減るって事になったら大変です!
せっかく有給休暇を取っても、有給分の給料が減ってしまうのでは、有給の意味がありません。
そんなの困りますよね。お給料もらいながら、そのまま休めることが有給って言うのじゃなかったのでは。
はたして、その噂はほんとうなのでしょうか?
今回は、その有給休暇で給料が減るのか調べてみたはなしです。
目次
有給休暇を取ると給料が減る!この噂って本当?
有給を取ったらあれ?給料の額がいつもと違う・・・?それってなんで?
有給休暇とは、労働基準法39条にて規定されている権利です。
有給休暇の取得は労働者の権利であり、使用者(雇用主)は労働者に対して、有給休暇を取得したことを理由として不利益な扱いをしてはいけません。(労働基準法附則136条)
ここにいう不利益扱いとは、例えば有給休暇の取得した日を欠勤扱いをしたり、賃金の減額といったようなことです。
とはいえ、有給休暇を取得した際において、その分の給与をどう計算するかという問題があります。
実は、有給休暇を取得した際の給与の計算方法には3種類が規定されています。
3種類のうちどの方法を採用するかによって算出される金額が異なります。
それにより、不利益扱いには該当しないものの、微妙に給与の額が変動してしまうということが起こりうるのです。
労働基準法で定められた、有給休暇時の給料支払い方法は3つ
前述した給与の計算方法は労働基準法39条9項により、労働者が有給休暇を取得した日に支払う給料を、3つパターンから選択するよう定めています。
なので、会社が勝手に「実際は働いてないんだから手当ては削って基本給だけにしよう」とか、「普通の日の半額でいいだろう」などという風に勝手には決められません。
次に、有給休暇を取得した際の給与の計算方法にはついて見ていきましょう。
1.平均賃金
平均賃金というのは、過去3ヶ月間に対して支払われた給料の平均値です。
具体的には賃金の合計を、3ヶ月分の歴日(カレンダー上の日付)の数で割って計算します。
この場合、年に2回のボーナスや弔慰見舞金、結婚手当てなどの特別なものについては計算から除外されます。
また、仕事が原因となった怪我・病気や通院などによって遅刻・早退などをした日も、平均の計算からは外します。
2.通常の賃金
一番分かりやすいのが通常勤務した場合と同等の賃金、つまり有給休暇を取らなかったと仮定して、ごくごく普通に給料を支払うというパターンです。
普通に勤務したのと同じということなので、当然各種手当てや、現物支給されているものなども含まれる事になります。
また、パートやアルバイトなどの場合は、その日に働くはずだった時間分の給料、つまり4時間シフトなら4時間分、8時間シフトなら8時間分の時給という計算です。
(勤務時間に変動がある場合は、長時間勤務の日に休んだほうが得、ということですね。)
3.標準報酬月額を日額にした金額
これは、健康保険によって、普段受け取っている給料を基準に段階的に定められた「標準報酬月額」から日割りで計算してその金額を支払うという方法です。
ただし標準報酬は金額に上限があるなど労働者にとって不利になる場合もあるので、この支払い方法を採用するには会社と労働者の間で話し合って労使協定を結んでおかなくてはなりません。
上記のうちどの計算方法を用いるかについては就業規則などにより定めておく必要があります。
有給休暇の計算方法で給与がどのように変動するのか
では、先に述べた3つのの計算方法において具体的にどれくらい給与額が変動するのか、
月給20万円(月の勤務日数は20日で所定の労働時間は8時間)の方をモデルケース
として検証してみましょう。
検証の都合上、1ヶ月は30日として仮定し、毎月の給与や勤務日数の変動など詳細については考慮しないものとします。
1.平均賃金で計算した場合
過去3ヶ月の給与の合計(60万円)÷過去3ヶ月間の暦日数(90日) =6666.66…円になります。
答え 1日あたり6666.66…円
2.通常の賃金で計算した場合
月給20万円÷勤務日数の20日 通常通りの1日分の給与つまり1万円になります。
答え 1日あたり1万円
3.標準報酬月額を日額にした金額
これは健康保険などで用いられる標準報酬月額を暦日数で計算して金額を算出します。
月給20万であれば、標準報酬月額は20万円(平成31年4月1日以降の東京都の場合)となるため20万円÷30日=6666.66…円となります。
このように、同じ条件であってもどの計算方法を用いるかにより、有給休暇取得時の賃金も異なるのです。
会社は上記3つのうち、どれか一つを有給休暇取得の場合の支払い方法として採用することが出来るわけですが、どれを選ぶかについては就業規則などで規定する必要があり、「会社の都合に合わせて、その都度安く上がる方を選ぶ」というような方法は認められていません。
何かの機会に、どの支払い方法か確認しておくのもいいでしょう。
まとめ
有給休暇を取得した際の賃金の計算方法は、先にも上げましたが、3つのうちから就業規則などの規定によって決定されます。
- 平均賃金
- 通常の賃金
- 標準報酬月額を日額にした金額
そのため、会社独自の計算方法で算出することは認められません。
有給休暇中の賃金は計算方法により金額が異なることがあります。
さらに、5日間の義務化により必ず有給を使わなければなりません。
それにより、有給休暇を取得した際の賃金が通常通り勤務した場合に比べて低くなることもありえます。
有給休暇を取得したとき、賃金が低くなっていると感じたら、一度どのように賃金が計算されているか確認しておきましょう。
【引用参照:ファイナンシャルフィールド】