
「アルミニウム製の鍋を使い続けるとアルツハイマーになってしまう」そんな説を聞いたことはありますか?
一時期、「雪平鍋を使っていると認知症になる」といった噂まで広まりました。
しかし、今もプロの間では愛され続けるアルミ製の鍋やフライパンは存在し続けています。
なぜ、そんな風評被害とも言えるような事とが囁かれ、本当の事はどういうことか紐解いていきましょう。
目次
アルミ鍋が危険で体に悪いのは嘘。厚生労働省の見解は?
1996年、毎日新聞がアルミ鍋がアルツハイマー病の原因ではないか、と報じられました。
その内容はアルミニウム製の調理器具が人体に危険性があるとしてアメリカでは政府から公式発表されと言う衝撃的な内容でした。
さらにドイツやフランス、スイス、イギリスなどではアルミ鍋から発生する有害物質の研究レポートに基づき、アルミニウム製の調理器具の販売規制を行っているとこのでした。
日本でもアルツハイマー病との因果関係が様々なメディアで取り上げられましたが、研究結果はグレーゾーンとして販売規制までにはなりませんでした。
しかし、その当時デパートではこれらの話を受け、アルミ製の調理器など店頭から姿を消していきました。
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アルツハイマーのリスクや有害性について
あらためて発表当時のメディアで言われていた事を整理します。
アルミ鍋はほかの金属鍋に比べ、融点が600℃と非常に低いことが特徴です。
それは加工しやすいメリットであり、逆に有害物質が溶け出しやすいというデメリットもあります。
カナダのある学者の研究によると、アルツハイマー患者の脳から健常者の数十倍ものアルミニウムが検出されたそうです。
この研究結果が「アルミニウム原因説」の一つの根拠と一般的な論調となりました。
さらに言われてきた、そのアルミニウムを摂取し続けるとどうなるのか?

- 脳への蓄積→アルツハイマー病、パーキンソン病
- 臓器(腎臓・膀胱・肝臓)への蓄積から機能障害へ
- 握力の低下
- 脂肪や骨への蓄積
- 神経系への影響
と大変、恐ろしい研究発表がありました。
アルミ鍋(雪平鍋)は認知症への影響は本当のところはどうなのか?
アルミ鍋が認知症への影響があると言う噂は、全く根拠の無い話です。
今までの話はただ、ラット実験で無理にアルミニウムの投与し続けた結果です。
これまでの話はWHO(世界保健機構)やFDA(米国連邦食品医薬品局)、アルツハイマー病協会などでは明確に否定する見解を出しています。
実際のところは、アルミ製品で健康障害があったという報告は一例もなく、アルミ鍋を規制している国もありません。

じつはアルミニウムは地球上に3番目に多い元素であり、我々が普段生活するなかで普通に摂取しています。
アルミ箔やアルミ缶などが心配という人もいるが、ほぼすべての食品にアルミニウムは含まれています。
その上で「アルミニウムは摂取しても健康な人ならほぼ体外に排泄される」という前提があります。
そもそもこの話のはじまりは透析患者に認知症が発生したという報告からでした。
しかし、透析患者がかかっていたのは認知症ではなく、腎臓が機能しないことによって起こった透析脳症でした。
このように体外に排出されなければカラダに良いとされる鉄や亜鉛でも有害になります。
現在ではアルミニウムがアルツハイマー病の原因ではない、ということがようやく認識されてきました。
さらに言えば、アルミを含む薬品(薬には大量のアルミニウムが含まれている場合がある)を長期的に摂取している人や、仕事でアルミニウムを扱っている人たちに特に多くアルツハイマー病が発症したという例もありません。
当然、鍋から溶け出るアルミニウムの量はごくわずかなものです。
現在 厚生省の見解では、WHOの基準値でアルミニウムの健康に影響を及ぼすことのない
最大量(最大無作用量)は『2mg/kg体重/週』とされています。(参照文献:アルミウムと健康)
例えば、体重50kgの人が1日当たり14.3mgに相当します。
これに対し、日常生活において人の1日当たりの平均摂取量はおよそ3.5mg程度なります。
その摂取基準は食品・飲料水・食品添加物・調理器具・薬品などから試算されています。
さらに、人体に吸収されるのは0.2~0.5%だけなので、ほとんどが人体に摂取されていません。
これによって、アルミ鍋からの摂取は人体に直接的な影響は無いと考えられます。
実は世界でアルミ鍋を規制している国はどこにもありません。
もちろん、アルミニウムは人体にとって、あえて摂取する必要もない元素です。
そこはアルミニウムを避けたいと考えるのは本人の意思ですし、それでも危険だと主張する人を否定をするつもりはありません。

アルミ鍋をプロが愛用し続ける理由
アルミの一番の特徴は熱伝導率が高いことです。
すばやく調理をする必要があるプロにとっては、早く火が通ることがとても重要になります。
アルミのフライパンや寸胴鍋は洋食料理で活躍しています。
アルミの雪平鍋ややっとこ鍋などは老舗の料亭では必ずと言っていいほど使われています。
軽くて、手入れのし易さも愛される理由でしょう。
ざっと簡単にまとめましたが、ここでは優れた道具が曖昧な根拠と風評で消えるという事態になることは絶対に避けなければなりません。
ここ日本には未だに職人が手作りで作る調理道具が多くあります。
それを未来に残すことが私達の義務だと思います。