社会人ならだれでも感じる職場でのストレス。
いつも、上司からの監視の目が光り、アレやコレや言われる毎日。
また、理不尽に叱責されたり、必要以上の仕事を強要されたりと。
社会人の悩みで特に辛いのは、こういったパワハラ上司の存在だ、という人も多いのではないでしょうか?
実際、このようにパワハラで苦しんでいる人はたくさんいます。
今回のはなしは、そんな理不尽な事を要求する上司のパワハラ判定の方法と対策についてご紹介します。
鬱になって仕事を辞めてしまう前に、一度参考にしてみてください。
目次
辛いパワハラの叱責事例から見る定義とは?
【引用参照:パワーハラスメントの定義について – 厚生労働省】
それでは、具体的にパワハラとはどのようなものがあるでしょうか。
大きく分けると、以下の6つの定義が分類されます。
合わせて、具体的に裁判で実際に違法性が認められた事例も上げます。
身体的侵害
目に見えて分かりやすい暴力や傷害のことです。また、タバコの火を近づけたり、立ったまま電話営業をさせるようなことも身体的侵害型のパワハラと言えるでしょう。
〈実際に違法性等が認められた例〉
○殴打、足蹴り、突き飛ばす
精神的侵害
脅迫や名誉毀損、侮辱、酷い暴言などの精神的侵害はパワハラの典型例と言えます。結果的に精神障害を患ってしまうようなことも多くあります。
〈実際に違法性等が認められた例〉
【人格を否定する発言】
○休暇中に出勤を命令し、それを拒んだことに対して、辞職を強いるような発言をする
【誹謗中傷・風説の流布】
○上司を中傷するビラを配布
○他の従業員の面前で横領行為の犯人扱いする
人間関係からの切り離し
無視、隔離、仲間はずれにするなどの行為も、度が過ぎるとパワハラに該当する可能性があります。仕事を教えない、席を隔離する、やっている内容は非常に幼稚です。
〈実際に違法性等が認められた例〉
【懲罰的な隔離、孤立化】
○産休をとったこと等を理由として仕事を外し、4年半別室に隔離し、さらに7年近く自宅研修させる
○社長の意に沿わない従業員に対して、退職に追い込むために配転命令を発令し、他の従業員を扇動して退職勧奨する
過大な要求
業務上明らかに達成不可能なノルマを課すことで、相手の職場環境が害されている場合は過大な要求としてパワハラに該当する可能性があります。更には、達成できなければ、怒鳴る、殴るなどの他のタイプのパワハラとも併用されます。
〈実際に違法性等が認められた例〉
【過大な業務・ノルマの強制】
○1年以上にわたり、他の従業員より高いノルマを課し、達成できないことに対して人前で叱責
【業務上の必要が無い命令】
○運転手に対して、接触事故を理由に1ヶ月間の炎天下での除草作業を含む下車勤務命令を出す
○販売目標未達成の罰として、研修会でコスチュームの着用を強要
過小な要求
一方、程度の低い単調な作業を与え続けることも、これにより相手の職場環境が害されている場合はパワハラに該当する可能性があります。毎日部長周りのお世話やお茶汲みしかやらせなかったり、単調な作業を延々とさせることも度が過ぎればパワハラとなるのです。
〈実際に違法性等が認められた例〉
【恣意的な降格・配置転換】
○管理職(課長)を退職させるため、受付窓口業務に配置転換
○内部通報した社員を新入職員と同じ職務に配置転換
個の侵害
プライベートな内容に過剰に踏み入ってくる行為も、相手に精神的苦痛を与えたり職場環境を害することがあればパワハラと言えるでしょう。なお、女性に対して個の侵害を行なうと、セクハラともなる可能性もあります。
〈実際に違法性等が認められた例〉
【思想・信条の侵害】
○特定の政党の党員であることを理由とし、職場内外で継続的に監視したり、他の従業員に接触しないよう働きかけたり、ロッカー等を無断で開けて私物の写真撮影をしたり
【年次有給休暇、育児休業など権利取得の妨害】
○リフレッシュ休暇取得後間もない時期に年次有給休暇取得の申請をしたことに対して「そんなに休むと、上は必要ない人間だと言う」などの発言をし、休暇申請取下げに至らしめる
嫌なパワハラ上司4つのタイプは?
基本、パワハラする人間は自分の弱さを人になすりつけるタイプです。
それも、相手を傷つけることで自尊心を保つタイプばかりです。
ここでは、そんなパワハラ上司を4つのタイプで分類してみました。
あなたの上司はどのタイプでしょう?
憂さ晴らしタイプ
最も多いパワハラ上司の特徴としてまず挙げられるのが、「一人をターゲットにする」という一点集中型です。自分が気に入らない一人にのみ態度を変え、日ごろの鬱憤を部下にぶつけたりストレス解消に利用するのです。特に言い返さない、優しい人は格好のターゲットになりやすいです。
権力絶対タイプ
権力に弱いタイプに多いのが、上司という立場を利用した部下への強要です。
出勤時間を早めるよう強要されたり、残業するよう要求する上司は立派なパワハラです。
また、派遣社員に対してよく見られるケースですが、「いつでもクビに出来るんだ」というような解雇をにおわす発言もパワハラ上司にありがちな特徴です。
他人に厳しく自分に甘いタイプ
「他人に厳しく自分に甘い」そんな上司はパワハラ行為をしがちです。
これも、言い返さなさそうな部下をターゲットとして常に見張り、「やらかす」ことを待ちます。そして、少しでも自分の意に反することをすれば、ことさら大袈裟に攻撃するような上司がこの典型的なタイプです。
もう一つ言える特徴が、とにかく部下が休むことを嫌い、「昔はこうだった」「俺はこれだけ働いてきた」などなどどんな状況でも働き会社に尽くすことが正しいと信じて疑わず、それを部下にも強要してくる場合があります。
俺が一番偉いんだ!タイプ
「俺が一番偉いんだ!」とふんぞり返っているような上司は少しでも機嫌が悪いと部下に当たり散らし、気分で発言もコロコロ変えるといった横柄な態度を取ります。またそういった人は、よく人を見下した態度も取りがちです。
自分に媚びてくる部下は可愛がり、逆に媚びない部下には徹底的に厳しい態度を見せるのもこのタイプです。
会社を辞める前に9つのパワハラ対策マニュアル
パワハラ上司のもとで仕事を続けると、精神的に病んでどうしょうもなくなりますよね。
でも、すぐに仕事を辞める結論を出す前に、何か打開策あるかもしれません。
これからあげる、「9つのパワハラ対策マニュアル」で何か役に立つヒントがあるかもしれません。
いちど、目を通して参考にしてみてください。
「同士」を募る
できるだけ多くの人に相談しつつ、一方で同じ部署内の「同士」を募るという方法です。
相談する相手は、友人や知人、家族、学生時代の先輩などできるだけ幅広くするといいでしょう。
その人自身がパワハラを受けた経験がなくても、同じような事例を知っているなどパワハラ上司に悩まされているのは、あなただけではないはず。職場内に同じような「被害者」がいるケースは意外と多いものです。
そこでぜひとも「同士」を募ることをおすすめします。
一人で悩んでいるよりは同じ被害者といっしょに対策を考えるほうが、行動を起こしやすくなります。
社内の担当窓口や組合に相談する
もし社内に、コンプライアンス専門の部署や、「相談室」のような窓口があるなら、そこに一度相談してみるといいかもしれません。
ただし、すべての会社にそうしたセクションがあるわけではありません。
たとえば人事部に相談して、それが上司の耳に入ってしまうという事態も想定出来るでしょう。その不安がある人は、人事部などよりも組合に相談することをおすすめします。
ただ、これも、会社によって組合組織の強弱にかなりの差がありますから、あまり有効な手段にならないこともありえます。それでも一度、組合に相談してみることは、むだにはならないはずです。
厚労省のサイトや窓口を利用する
社内のコンプライアンス部署などで解決できない場合は、厚労省のサイトや窓口を利用するといいでしょう。
個人的に弁護士に相談するという方法ももちろんありますが、知り合いに弁護士がいる人以外は敷居が高いでしょうし、お金がかかるという問題もあります。
その点厚労省の窓口のほうが、「一度話を聞いてもらおう」というより気軽な気持ちでアクセスできるでしょう。
厚労省には、各都道府県の労働局に「総合労働相談センター」という窓口がありますし、もっと手軽なのが「心の耳」というサイトです。一度チェックしてみることをおススメします。
パワハラの事実を記録しておく
パワハラだと確信するまでにも多少の時間がかかっています。よく考えれば、もっと以前からパワハラの被害にあっているはずですが、その記録をとっていないことがほとんどです。どう考えてもこれはパワハラだと感じたら、すぐ記録をつけておいてください。
記録の取り方はどのようなものであってもよいですが、わかりやすく日付と時間、誰からどんな状況で、どんな言葉や態度でパワハラを受けたかを記録します。
こんな書き方でもいいのかなと疑問に思う必要はありません。大事なことはその場でできるだけ詳細な記録がとってあることです。
メモやICレコーダー、周囲で立ち会っていた人の名前も記録しておくとよいでしょう。
毅然と「それはパワハラです」と明言しておく
事実として、パワハラの加害者はパワハラと気づかずにやっていた、ということはありえません。はっきりと本人はパワハラを認識した上でしています。
最悪なはなし、加害者は被害者の顔を見て、困ったり泣いたり傷ついたりする様子を楽しんでおり、この程度ならまだ大丈夫、多少のエスカレートは問題ないと、巧みに考えながら行っています。さらに被害者に対して「本人にハッキリ言うことの何が悪い」と自分に都合よく、正当化してきたりもします。
この一因に加害者側は、被害者が何も言って来なかったと主張することがあります。
パワハラはハッキリと「それはパワハラです」と明言しないことで、周囲は「ただモメているだけ」という認識で終わってしまい、パワハラを阻止できないこともあります。
周囲に相談して味方を増やし、パワハラ担当や上司に報告する
上司の上司や人事部のハラスメント担当に、これまでの記録を提示した上で報告しましょう。
パワハラの相談の際には、深呼吸をしてゆっくりと、冷静に落ち着いて事実だけを話してください。これまでずっと我慢し続けてきたという気持ちはわかりますが、感情的になって泣き出すようなことになっては相手には伝わりません。
また、パワハラの解決には落としどころが必要になります。
パワハラの加害者に対して何を希望しているのか、会社への要望、これからのことも話し合わなければなりません。
上司の上司に相談する
上司からパワハラを受けていることで精神的に大きな苦痛を受けるという状態であるでしょう。そのような場合、まずは上司より上の立場に当たる人に相談してみましょう。
しかし、口頭で悩みを相談しただけでは事の深刻さを分かってもらえない可能性もあり得ます。そのために、いったいどのようなパワハラを受けているのか、それが本当に起きているのか、客観的に判断できるような証拠をしっかりと集めましょう。
パワハラは、部下を指導するという名において“怒鳴る”などという形で現れる場合が多いため、証拠を集めやすい事例であるとも言えます。
必要以上の罵声や恫喝などは、上司とあっても許されるわけはありませんから、実際に怒鳴っている様子を録音するなどして、証拠として提出できるようにしておきましょう。
実際に怒鳴り声を聞いてもらい、客観的な判断をしてもらうという事が重要です。
社内の専門セクションに相談する
上司の上司に相談しても、拉致があかないと感じた場合は、会社内でそういう問題を専門に扱っているセクションがないか、調べてみましょう。
社内の専門医や人事部などでそういう問題を扱っている場合もあります。
相談できる窓口があるなら証拠を提示して相談し、上司の行動がパワハラに該当するかどうかを客観的に判断してもらうのです。その上で、この問題の解決を依頼してみましょう。
あからさまなパワハラは、現在では犯罪行為です。実際に起きている事を社内で明らかにして、上司に対する指導をお願いするべきでしょう。
社外の専門セクションに相談する
会社内でそういった相談窓口がないような場合、社外の相談窓口を利用しましょう。
現在は最初の一回は無料で相談に乗ってくれるというところや、無料で電話相談を受け付けているところもあります。そういうところに実際上司がパワハラを行っている様子の証拠を提示し、本当にパワハラになるかという事を判断してもらうのもよいでしょう。
社外の専門機関においては、法的なアドバイスもできるよういろいろな情報が集まっていたりします。
パワハラ上司への4つの仕返し
前もって言っておきますが「仕返し」と言うとなんだか、藁人形を連想させるオドロオドロしいものを想像させますが、そんなはなしではありません。
ここでは現実的に、前向きなはなしをしたいと思います。
上司になる作戦
言葉の通りキャリアアップし、デキルあなたは今の上司よりも上に行くという方法です。
言うのは簡単ですが、自分を評価をしてくれるのが直属の上司になるので、実際にやるとなると少々厳しいかもしれません。営業など、数字で目に見えるわかりやすい部署だったら、比較的まだ現実的かもしれません。
これでしたら、パワハラ上司のメンツをつぶし権限を完全に奪うため、復讐方法としては一番効果的です。
集団訴訟作戦
1対1の戦いではなく、仲間と協力して立ち向かう方法です。
あちらこちらで、威張り散らしているパワハラ上司にはこの手が有効です。
パワハラ上司のターゲットにされている人、不満を持っている人はすぐに集まることでしょう。連帯してパワハラの現状を会社に伝えることで会社側も耳を傾けてくれやすいです。
これなら、仲間もいるので勇気が出るでしょう。
逆ギレ仕返し作戦
かなりシンプルな方法ですが、パワハラ上司に対して直接声を上げて反発するという方法はかなり勇気がいることだと思います。
しかし、パワハラ上司は気の弱い部下をターゲットにする傾向があるため、強い姿勢や態度を取られることを嫌います。できるだけ、多くの人の前で大声をあげると効果が増します。がんばってパワハラに動じない態度を取り続けることで相手は必ず怯みます。
基本、弱いものイジメを好むパワハラ上司は、もともとがその本人の気が弱くて、偉そうに自分を大きく見せたいタイプが多いので、勇気を出して頑張ってみましょう!
スキルを吸収してから退職作戦
最後は社内で、どうしようもなく追い込まれた場合、頑張りすぎず退職するのも手です。
しかし、どうせ辞めるのならスパッと退職してしまうのではなく、その会社で得られるものすべてを得て、自分のスキルを最大限向上させてから退職するのがいいでしょう。次の転職先で、そのスキルはかならず役立ちます。たとえは、エクセルの表計算ができるようになったとか、そんなレベルでもいいです。
それに加え、あなたが会社を辞める理由が、上司のパワハラのせいと少しでも会社に伝われば、その上司の評価も多少なりとも下がるでしょうし。
まとめ
日常的にパワハラを繰り返されると、精神的苦痛が麻痺しどんどん一人で抱え込むようになってしまいます。
どうしても、気が弱い人・何か言われても言い返せない人はパワハラ上司のターゲットにされやすいため、自分の意見をしっかりと持ち、伝えることが大切です。
もし、あなたがこれらの特徴を持った上司のもとで働き、日々振り回されているのだとしたら、何度もいいますが我慢してパワハラ上司の言いなりになる必要はありません。
無理しすぎず、周りに助けを求めることも必要です。
あまりにもひどい上司に対しては、ここに書かれたを参考に会社や行政に訴えてもかまいません。
それが、あなただけでなく会社の為にもなると思ってください。