さぁ、じゃがいもが美味しい季節になりましたね。
蒸しても、炒めても、煮ても、揚げても、どんな調理でも美味しいじゃがいもは、大人だけでなく子供も大好きですよね。
そこで、何か作ろかなっと思って野菜ケースから、取り置きのじゃがいもを取りだしたら、なんとなく緑っぽくなってるけど…。
これって、古いやつだからなんでしょうか?
たしか、テレビでじゃがいもの芽は毒ってよく聞くけど、みどりのジャガイモも中毒性があるって聞いた気がしたんですけど。
そこで今回は、緑っぽいじゃがいもは大丈夫なのか?じゃがいもに適切な保管方法があるのか?を調べてみたはなしです。
目次
1.じゃがいもが緑っぽくなったら危険な理由
緑っぽく変色してしまったじゃがいも。
その緑色の皮には、じゃがいもの芽などに含まれている毒成分と同じ『ソラニン』『チャコニン』が含まれています。
ソラニンとチャコニンは、糖とアルカロイドからできている「グリコアルカロイド」の一種で、はじめからじゃがいもの芽、葉、茎、花、根など全ての部分に含まれています。
特にじゃがいもの芽だけでなく、光に当たった緑色の皮の部分にも多く含まれます。
その皮が緑色になってしまった場合の毒素ですが、
通常のじゃがいもは、100gあたり平均7.5mgのところ、緑色になったところは100gあたり100mg以上のソラニンやチャコニンを含んでいるといわれています。
実に13倍以上の含有量になってしまいます。
これまで、じゃがいもの芽が毒だって事は多くの人が知っていますが、緑色の皮のこそがこの中毒の原因にもなったんです。
2.じゃがいもは なぜ緑色になってしまうのか?
では、なぜじゃがいもの皮が緑色に変色するのでしょうか?
そのワケは、光による光合成なんです。
じゃがいもが光に当たると光合成を行い、クロロフィル(葉緑素)を生成して皮が緑色っぽくなるのです。
光合成は太陽はもちろんですが、蛍光灯や冷蔵庫の中だって明かりでもおこなってしまいます。
ここで1つ疑問なんですが、クロロフィル(葉緑素)が皮を緑色にするのは分かるのですが、なぜクロロフィル(葉緑素)が毒のでしょう?
健康食品でクロロフィル(葉緑素)の入ったものがありますよね。
体に良いはずのものが、なぜ毒になるのでしょうか?
その訳は、皮の細胞が分解されるときに、細胞内にあるクロロフィラーゼ(酵素)がクロロフィル(葉緑素)に作用して毒素がでるからなのです。
ちょっと、意味がわからないですよね。(汗)
具体的な例えで言えば、
ジャガイモ成長する→土の外に露出する→外敵(虫や動物)から身を守りたい→緑色になって毒の素(クロロフィル)をつくる→外敵が食べる(細胞が分解)→毒ができる(クロロフィラーゼ✕クロロフィル)→中毒になる『ソラニン』『チャコニン』
といった流れです。雑ですが、こんな感じです。
要は、ジャガイモは外敵から身を守るために緑色になってたんですね。
3.『ソラニン』『チャコニン』の中毒症状とは?
では、じゃがいもに含まれている『ソラニン』『チャコニン』は食べるとどうなってしまうのでしょう?
先から言ってるように、『ソラニン』『チャコニン』一定量以上摂取した場合、危険な食中毒症状を引き起こします。
その症状は、
吐き気、嘔吐、下痢、虚脱感、激しい腹痛、割れるような頭の痛み、めまい・ふらつき、呼吸困難
と言ったように、これらはじゃがいもによる食中毒で引き起こされてしまう症状です。
これまた、多いですよね。
また、『ソラニン』『チャコニン』は菌では無い毒素によるものなので、加熱による殺菌分解ができません。
これって、食中毒としてかなり恐ろしい部類かもしれませんね。
更に恐ろしいのが、じゃがいも中毒の症状が現れるまでの時間です。
じゃがいもの毒素を食してから、数分後~数日ほど後に症状が現れる恐れがあります。
数日後となると、何が原因の食中毒か検討もつかなくなってしまいますよね。
こういった、油断ができなのが『ソラニン』『チャコニン』による、ジャガイモの中毒症状なのです。
もしも食べてしまった場合は、吐き気やめまいなどの症状がないかよく観察し、少しでも異常があればすぐにお医者さんにかかりましょう。
知っておきたい『ソラニン』『チャコニン』の味
実は、緑色に変色し、ソラニン・チャコニンを多量に含んだじゃがいもは味も変化しています。
どんな味かと言うと、えぐみがある、嫌な苦味、まずい、舌がピリピリする、だそうです。
もし、あなたが食べたじゃがいもから、普段感じないような苦味やえぐみ・舌がしびれるような味を感じてしまったら、すぐに吐き出して下さい。
その味、じゃがいもじゃなくて、有毒成分によるものですよ。
4.どれくらい摂取したら中毒症状になるの?
では、一体どれくらいの量、『ソラニン』『チャコニン』を摂取したらこのような中毒症状になってしまうのでしょうか?
中毒症状が起こる分量は、200mg~400mgであり、子供ではその1/10量で発症すると推定されています。
目安として、緑色でないジャガイモのソラニンの含有量は100gあたり約7.5mgとなり、ジャガイモの量は2660g~5330gとなります。
ジャガイモ中サイズ約100gとすると、26~53個食べなくてはいけません。
それが緑色となると、ソラニンの含有量が100gあたり約100mgとなると、2~4個で中毒となります。
このように、大人でしたらジャガイモを2個ぐらいなら、少し頑張れば食べられる量です。
これが子供でしたら、このたった1/10の量となると、簡単に食べてしまう量ですよね。
このように子供には緑色のジャガイモの中毒症状は、特に注意しなくてはいけないことが分かりました。
また、緑色のじゃがいもではありませんが、家庭菜園等で育てた未成熟なじゃがいもには、通常よりはるかに多いソラニン・チャコニンが含まれています。
こちらも、絶対に子どもたちには食べさせないようにしたい所です
【出典参照:東京都健康安全研究センター】
5.緑っぽくなっても中身は大丈夫 そんな皮のむき方
再三いいますが、じゃがいもの毒(ソラニン・チャコニン)は加熱してもなくならないため、食べないほうがいいと先ほど触れました。
でも、芽や緑の皮には毒が含まれるますが、取り除げば食べられます。
もったいないなんてと思わずに、皮を厚めにしっかりと剥いてから調理するようにしましょう。
次にじゃがいもの皮のむき方を紹介します。
●じゃがいもの皮のむき方
水洗いしながら柔らかい布などでこすり、汚れをしっかり落とす。
皮は表面に角が残らないよう、面取りをしながら厚めにむく。角が残っていると、そこから煮くずれるため、滑らかに仕上げる。
●芽は皮ごと取る
じゃがいもの芽は、根元からしっかり取るようにします。
芽がある部分の皮を厚めにむけば、芽を根元から取り除くことができます。
芽を取ることのできる、皮むき器などを利用してもいいでしょう。皮の色が緑がかっている場合(上の写真左)も、厚めにむきます。
皮をむいても表面に緑色が残っている場合は、白い表面が出るまで皮を削り取るようにしましょう。じゃがいもは、芽が出たり、皮が緑色になったりした場合でも、厚めに皮をむき、しっかりと芽をとって調理すれば、安心して食べることができます。
6.じゃがいもが緑っぽくならない保管方法
最後に、じゃがいもを保管する方法はどうすれば良いでしょうか?
もう当たり前ですが、いくら安いからって、芽が出ていたり、緑色になったところがあるじゃがいもは、買わないようにしましょう。
じゃがいもは暗くて涼しい場所に保管するのが原則ですが、冷蔵庫で保存する必要はありません。
逆に冷蔵庫には入れないで下さい。
なぜかというと、冷蔵庫で保管したじゃがいもは、揚げたり炒めたりすると、じゃがいもに含まれる糖とアミノ酸の一部が反応して、アクリルアミドという化学物質が生成します。
アクリルアミドとは、発がん性を持つと考えられている化学物質です。
なので、フライドポテトなど高温になる揚げ物などに使う場合は、冷蔵保存はやめておいたほうがいいです。
また、腐りにくいからといっての長期の保存や、安いからといっての大量購入は避け、その都度必要な量を購入しましょう。
購入後は、かごや通気性の良い袋に入れて、光のあたらない暗くて、涼しい場所で保存しましょう。
りんごと同じ袋に入れておくと、りんごからエチレンガスが発生して、じゃがいもの発芽防止になります。
20℃くらいになると発芽や腐敗がしやすくなりますので、10℃くらいの涼しい場所が好ましいです。
また調理するまで、水洗いはしないようにしましょう。
傷も傷みの原因になるので、保存時に害虫に食べられないよう注意が必要です。
カットしたじゃがいもはラップをしたり密封袋に入れたりして冷蔵庫で保存し、できるだけ早く使い切りましょう。
保管方法のまとめ
- 光が当たらない場所
- 風通し位のいい場所
- 10℃くらいの涼しい場所
- 美味しく食べたいなら、長期保存はしない
- 冷蔵保存したじゃがいもは揚げ物には使わない
まとめ
じゃがいもは、基本的に正しい保存さえ行えば、品質を保ってくれる優秀な食べ物です。
しかし、日光に当たるなどした場合は、葉緑素の関係で緑になり、有毒物質へとその姿を変貌させてしまいます。
緑色に変色したじゃがいもも食べることは可能ですが、毒素があることを考えると心配になりますよね。
正しい保存方法と調理方法で、安心してじゃがいもを口にしてもらえればなと思います。
最後にもう一度、じゃがいもの安全な食べ方です。
- 芽の部分はきちんと取り除きましょう。
- 自分で栽培した小さい未成熟なじゃがいもはアルカロイド含有量が多いと言われいるので十分注意しましょう。
- 緑変した部分の皮は厚めにむきましょう。
- じゃがいもの皮には可食部と比べて多くアルカロイドが含まれているので、少ない量で中毒になる可能性があるお子様は、皮をむいて食べさせましょう。
- 貯蔵するときは、光の当たらない風通しの良い場所に保管しましょう。
- 苦味やえぐ味がある場合には食べないようにしましょう。