巷では健康のためだけでなく、ダイエットを目的とした筋トレが流行っていますね。
男女問わず、割れた腹筋に憧れを持ち、ジムでハードなトレーニングを行う輩が増えてきました。
でも、ちょっと待ってください。
それって、実はそのハードトレーニングが筋肉を増やすどころか、逆に筋肉を溶かしてしまい命のかかわる病気になる可能性もあるって事を知っていましたか?
2017年に米国じゅうでそんな衝撃的なニュースが報告されました。
翌年には米国医師会誌でも症例が報告されたというその病名は「横紋筋融解症」といいます。
さて「横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)」という病名を耳にしたことはありますか。
“筋肉が溶ける”…文字面から連想すると、不気味な印象を受けます。
それでは「横紋筋融解症」とは一体何なのでしょうか、一緒に勉強しましょう。
目次
「横紋筋融解症」とは-筋肉が融解、壊死すること
「横紋筋融解症」とは横紋筋の体を動かす筋肉で「骨格筋」細胞が融解、壊死することで筋肉の痛みや脱力などが生じる病症を言います。
さらに進行すると、ただ痛むだけでなく融解した筋肉の成分「ミオグロビン」が血液中に流れ込み、急性腎不全や呼吸困難を引き起こします。
このことについて厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル」では、多臓器不全によって深刻な障害が残ることもある重い病気とされています。
本来この「横紋筋融解症」の症例は特定の薬物の服用の【非外傷性】と事故による外傷、重度の熱中症などによる【外傷性】などが主な原因とされてきました。
【非外傷性】
その薬剤の中でも、スタチンやフィブラート系といった高脂血症で頻繁に使用される薬が横紋筋融解症を引き起こすことで知られています。
さらに、抗生物質(ニューキノロン系)、抗精神薬・抗パーキンソン病薬(ハロペリドールなど)、抗てんかん薬(バルプロ酸など)、麻酔薬(サクシニリコリンや揮発性の吸入薬)など数多くの薬剤が横紋筋融解症の誘因となります。
【外傷性】
交通外傷、熱中症や長時間のてんかん発作などを起こすと、筋肉に過度の負荷がかかり物理的な破壊を受けることになります。
外傷をきっかけとしてコンパートメント症候群を発症し、その一症状として横紋筋融解症が発症することがあります。
コンパートメント症候群とは
スポーツや交通事故などによる打撲、骨折、脱臼などをきっかけに、それによる出血などで下腿の組織内圧が上昇して、筋肉内細動脈の血行障害を引き起こし、筋腱神経組織が壊死〈えし〉に陥る障害です。 いったん組織が壊死に陥ると、機能障害は永久的になるため初期の迅速な判断が重要です。
症例-トレーニング程度で筋肉が溶けてしまうなどということがありえるのだろうか
この事は先の米国のニュース番組で取り上げられたように、具体的な発症例として米テレビ俳優のケースで紹介されました。
これによると、昨年に米国で流行していたサイクルマシンを使った、ワークアウトに初めて参加しました。
マシンを漕ぎながら上半身も動かすというかなりハードな内容で、開始から5~10分ほどで太ももに痛みを感じたものの、あまり気にせず45分間のワークアウトをやりきった。
しかし、翌日の夜には眠れないほどの激痛を太ももに感じ、足を確認すると2倍近くに腫れ上がっていました。
ひざも曲げることができず、気持ちが悪くなり慌てて救急病院に行ったところ「横紋筋融解症」と診断されました。
幸い早くに治療を受けたため、1週間の入院で住みました。
しかし、1か月以上経過した現在でも後遺症で足が痛むそうです。
このことについて番組のインタビュー取材に対し医師はこう答えました。
「横紋筋融解症は特異な病気ではなく、筋肉に損傷を与えるようなあらゆる種類の行為で発症する可能性があります。これまでは兵士やアスリートに多く見られた病気でしたが、最近は非常にハードなトレーニングを受けることが流行しているため、一般の人にも多く見られるようになりました」と。
米国医師会誌で、やはりこのサイクルマシンのトレーニングによって横紋筋融解症を発症した患者が3例報告されました。
症状が軽度の場合、水分を与えながら容体を安定させるだけでもいいです。
しかし、中・重度の場合は血液を介して腎臓に到達すると物理的に尿細管閉塞になり、急性腎不全の症状がおこします。
また、ミオグロビンは尿中に排出されると尿が赤褐色を呈し、血尿のような色になり、この症状を「ミオグロビン尿症」と呼びます。
そうなりますと、全身の血液に流れ込んだミオグロビンを除去するため人工透析が必要となります。
前述の米テレビ俳優さんも入院中の1週間、ひたすら血液の濾過を続けていました。
また、このまま筋肉の損傷がひどく、血管を圧迫している場合は切開手術を行う場合もあったそうです。
予防策-馴れないハードトレーニングを急に始めない
横紋筋融解症を予防する方法はないのだろうか。
まずは体が慣れている運動かどうかが重要です。
米国医師会誌に症例報告を行った、医師は報告の中でハードなだけでなく、体が慣れている運動かどうかが重要だと指摘しています。
「定期的に運動をしている人でも、それまで使っていなかった筋肉を酷使するトレーニングを始めると横紋筋融解症を発症するリスクが高くなります。
誰でも馴れない初めてのトレーニングを15分行っただけで発症しすることは起こりえます」
前述の米テレビ俳優さんも週に2~3回ランニングやウェイトトレーニングをしていたが、サイクルトレーニングは初めてでした。
こうしたことから医師は、新しいトレーニングを始める場合はゆっくりと徐々に負荷を上げるようアドバイスしているます。
「ジムなどでワークアウトクラスに参加する場合、自分が初心者であると伝え、運動前・中・後に必ず水分を摂取してください」
まとめ
何となく思いつきでトレーニングをしている人は多いのじゃないでしょうか。
今回、この話を聞いたときはものすごく恐ろしいことを今までしてきた事を知ることとなりました。
思い出すのは学生の頃、部活でハードトレーニングをしたときに血尿が出たことがありました。
これって、横紋筋融解症になっていたんじゃないでしょうか。
皆さんも運動は健康の為にあるので、急に頑張ったすると逆に体に悪いことは覚えておいてください。